あの頃ぼくらはアホでした(東野圭吾・集英社文庫)

ずーーっと避けていた本でした(苦笑)。
なぜなら、エッセイというものがとても苦手な私・・・。
でも、大好きな東野さんの頭の中をちょっと覗いてみたい~~・・と、
まあ、ダメもとで(ひどい・・^^;)読んでみました。


ワルの巣窟、悪名とどろくオソロシイ学校で学級委員をやっていた
“命がけ”の中学時代。日本で最初に学園闘争が起こり、制服が
廃止されたという「有名校」での熱血高校時代。
花の体育会系&“似非(えせ)理系”だった大学時代・・・・(中略)
怪獣少年だった小学生時代から大学を出て就職するまでを赤裸々に
つづる(?!)青春傑作記。

と、裏表紙に書いてありますが・・・


東野さんって怪獣オタクなんだー。



・・・という程度の感想でしたね。。。(再び、苦笑)

怪獣の話以外は、そんなに熱入れて書いてないでしょう?思ってしまうほど、
オタクっぷりを発揮。
おかげで、他の話がかすんじゃって、覚えてないよー。


ってわけで、パラパラめくりなおすと。。。

あー、そうそう。面白かったのがあった、あった。
読書嫌いだった東野さんが、初めて推理小説を書いたときの話
「読ませる楽しみ、読まされる苦しみ」、
貧乏スキーで無茶をした「何かが違う」、
高校の文化祭で映画制作をした「あの頃僕らは巨匠だった」の3つ。
ちゃーんとオチがあるところが、東野さんらしくて
思わずプっと笑えました。



怪獣ネタはねえぇ~・・・男の人で同年代なら熱く読めるかも。
私の兄と東野さんが同年代ともいえるので、
「ウルトラQ」とかも全くわからないわけではないのが救いだったかな・・^^;


怪獣ファン、あるいは無類の東野さんファンの方以外は、
本屋で素通りしてよいかもしれません~。
[PR]

# by marin_star | 2006-09-03 21:47 | 東野圭吾  

デッドエンドの思い出(よしもとばなな・文春文庫)

久しぶりに読んだなぁ~、よしもとばなな。
デビュー当時の「キッチン」から始まって「うたかた/サンクチュアリ」
「哀しい予感」「TUGUMI」「白河夜船」「アムリタ」・・・
このへんまでは大好きで(まだ吉本ばななだったね…)
よく女友だちへのプレゼントに「キッチン」を選んだりしてたくらい
好きだったんだけど、いつの間にか読まなくなってた・・・。

「これまで書いてきた自分の作品の中で、いちばん好きです。
これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。」と
帯に書いてあるのを見て、久々に読んでみようかなぁ~、と手にとりました。

普段使いの言葉ばかりなのにとても彼女らしい独特の言い回し、
切なくてきらきらしてちょっとあったかくなる短編5編です。

なんというか、きっと彼女の感性というか、ものの捉え方というのは、
ものすごく常人離れしているというか、ずーーっと突き抜けたところに
あるような気がするんですよね。

人との距離感とか幸せの感じ方とか、いろんなことが、
俗世を奥底まで見つめていった先のすごくキレイな上澄み液の中のような
透明な世界のお話っぽい。
登場人物の悩みや環境はとてもリアルなのに、
出てくる男女の距離感や関わり方がとてもピュアで潔く、
生々しさがないんです。
そして幸せの尺度も、ものすごくベーシックで純粋で研ぎ澄まされています。
そうだよね、こういうふうに幸せを感じて満たされていくことが
かけがえのない人生を大事に生きるということなんだ、と思ったりします。

つらくて切ないことがあっても(あったからこそ)、
心の中に眠っているかけがえのない宝物が
いつかきっときらきらした光を感じて輝きだすときがくる ―――。
そんな幸せで満たされていく瞬間瞬間を、とても温かく切なく描いています。

心がちょっと疲れたときや、つらくて癒されたいときに読みたい、
そんな短編集です。





余談ですが、彼女は大学の同級生。
ゼミが違ったので会話したこともありませんが・・・^^;
[PR]

# by marin_star | 2006-08-27 22:50 | その他  

僕たちの戦争(荻原浩・双葉文庫)

あー、こういう語り方もあるんだ~、さすが荻原さん。

現代に生きるフリーターでサーファーの健太と
敗戦直前の1944年に生きる軍国青年・吾一が時空を超えて
入れ替わってしまった!

現代っ子で何をやっても長続きせず、
嫌なことがあると波乗りに逃げてしまう健太と、
お国のために戦うため戦闘機乗りを目指して航空隊に所属していた吾一。
この二人が、ある日突然入れ替わり、それぞれおかれた境遇の中で
健太が吾一を、吾一が健太を演じながら、成長していくお話です。

「いくら勉強を怠けていたからといって日本が戦争に負けることは知っている。」
負けると分かっている戦争に命をかけなければならない状況に
追い込まれた健太。
タイムスリップ直後こそ「ドッキリに決まってる」と決めつけて笑ってすまそうと
必死になったり、物静かで控えめな文子の態度にいちいち色めきたったりと
イマドキの若者っぷり全開で笑わせてくれますが、
海軍航空隊の厳しいしごきにあったり、特攻隊に任命されたり、と
どんどん冗談ではすまされない厳しい状況に・・・。

一方、負けるはずがないと信じていた日本の敗戦を歴史の本で知り、
敗戦を迎える前に元の時代に戻って、敗戦を回避しなければ・・と
使命に燃えるが、健太の恋人・ミナミにどんどん惹かれていってしまう吾一。
さらに、物があふれかえり、贅沢をし、喧騒に満ちた生活、
節度のない若者たち、未成熟な大人たち。。。
そんな現代の日本を目の当たりにした吾一は、
自分が命をかけて守ろうとした国の将来はこんなものだったのか?と
愕然とし、空しさを感じてしまう。

敗戦・復興・近代化・バブル・・・と繋がってきた時代を知っている私たちには
目をつぶりたい気持ちもありつつ、なるべくしてなった現代の姿、と
ついつい思ってしまうけれど、
タイムスリップしてきた吾一の純粋な目には
あまりにも哀しい日本の姿だったに違いありません。

二人の目を通して、戦争の浅はかさや愚かさ、
守るべきものとは何なのか、という重いテーマが、
笑いあり&涙アリのユーモアあふれる荻原節で
ごく普通の日常生活のように語られ、すーっと心に入ってきます。

戦争モノってけっこう苦手なジャンルなんですが、
これは全然違和感なく、ラストまでグイグイ読んでしまいました。

ラストは、もうちょと続きを読みたかったな~、と思わせる終わり方で、
いろいろと想像するのも、また楽し。というところでしょうか。
(でも、やっぱり健太と吾一のその後がとっても気になる!)
[PR]

# by marin_star | 2006-08-26 00:08 | 荻原 浩  

グッドラックららばい(平 安寿子・講談社文庫)

う~~ん。。。なんだかなぁ~・・・

(いつものことですが、
未読の方、これから読む可能性のある方はお読みにならないでください!)



“他人の迷惑顧みず、「自分の気持ち」に素直に生きるタフな4人がここにいる。
けちなモラルや常識なんて笑い飛ばす、新しい家族の物語。”
・・・という裏表紙のコピー。
「本の雑誌 おすすめ文庫王国 2005年度第1位」。
そして平積みの横に付けられた手書きのPOP(内容は忘れたけど絶賛してた・・・)。

これに騙されました。
全然知らない作家さんだけど、ちょっと面白いかも?って。。。

全く共感できず。

なんか、
自由奔放に生きていても家族は自然に繋がってるのよ、
みたいなおとぎ話なの?
まるで現実感なし。
周りを振り回しても「あたしはあたし」でマイペースに生きることが
そんなに素敵?

うーーーーむ、全く理解できません。


プチ家出から何年も戻らない母を夫や娘がどのように捉え、
目の前の生活をやりおおせていくかはけっこう興味深かったのですが、
後半、肝心の母親の目線から語られる真実は勝手このうえなくて、
ホントの家族ならハラワタ煮えくり返りですよ、普通は、ね。
なのに、
最後はなんだか丸く収まってしまう、あー、摩訶不思議。

これが新しい家族、新しい人生・・・といわれてもねぇ。。。
(私は古いまんまで結構です、って思うよ。)


しかも、作者が
「これが代表作になる予感がします」なんて言ってしまって
著者紹介や帯に印刷されちゃってるなんて、
ちょっと浅はかすぎやしませんか?
これが代表作なら、もう他の作品は読みませんよ、絶対。



うーーん。。。超辛口になってしまった。
今にして思えば、解説書いてる人も好きじゃなかったしね。。。
(トホホ。いいとこなし、です。)


ということで、「その他」行き。ゴメンナサイ。
[PR]

# by marin_star | 2006-08-07 22:54 | その他  

メドゥサ、鏡をごらん(井上夢人・講談社文庫)

この作品、ずっと前から読みたかったんですが、
なかなか書店で見つけられなくて・・・
先日やっと手に入れました!

怖かった・・・!

作家・藤井陽造が、コンクリートを満たした木枠の中に
自ら全身を塗り固めて自殺する場面から、物語は語られ始めます。
傍らに遺された「メドゥサを見た」のメモ。

発見者となった陽造の娘とその婚約者は、
この異様な死の謎、そして最後に書かれていたはずの遺作を探し始めるが。。。

最初は、遺品の中にあった陽造の日記代わりのノートを手掛かりに
なぜこんな異様な死に方をしたのか?「メドゥサを見た」とは?という謎と
遺作の行方を追いかける、ミステリの気分で読んでいたんですが、
次第にどんどん怖くなっていってホラーっぽい感じに・・・

陽造ノートに書かれた人物にあたるうちに
婚約者の周囲に起こる不可解な出来事。
明かされていく過去の事件、連鎖する怪死。
そして、衝撃の忌まわしい過去の事件・・・!

あー、怖い~。どうしよう。もうやめられないよー。
途中で止めたら、怖いままだし・・・
と、必死で(笑)読み進めました。

途中、展開が読めた気がしていたんですが、
見事にその予想をはるかに上回る衝撃の展開に。

う~~ん、さすがです。


何を書いても致命的なネタばれになりそうなので
あまり書けませんが、
井上夢人らしい現実と非現実の境目が分からなくなる恐怖というか、
背筋がゾクゾクするような作品でした。

作中、陽造の書いた作品のことを娘の婚約者が振り返る際、
「SFともホラーともミステリともつかない小説」
「読んでいる間中、ゾクゾクするような不安な気持ちにさせた。
とてつもなく怖い小説」
「怖いのに読むのをやめられず、途中で本を伏せることができなかった。」
と言ってますが、
それって、まさに井上夢人だよ!この作品だよ!・・って思いましたね^^


解説によると、この作品は評価が分かれているそうですね。
(解説の池波志乃さんは、井上作品のベスト1!」とおっしゃってますが。)
確かに、ミステリとして読んだ方には納得いかない部分が
ずいぶんとあるのかもしれません。
でも、
ミステリのつもりで読み始めた私ですが、
もうそんなことはどうでもよくなるほど、
夢中になって読んでしまった、面白い作品でした!
[PR]

# by marin_star | 2006-08-04 08:32 | 井上夢人  

深紅(野沢 尚・講談社文庫)

野沢作品は今まで「破線のマリス」しか読んだことがありませんでした。
で、つまらなかったんですよ・・・
(江戸川乱歩賞作品なんですけどね・・・レビューも書いてないし。)

ドラマの脚本家としてはものすごく好きな人だったんですが、
「破線のマリス」もTV局が絡んだ話だし、
やっぱり野沢さんはTVの人なんだな~・・・と思って、
それ以後、小説は読んでいませんでした。

でも、この作品は面白かったです!
(今まで敬遠していてゴメンなさい・・・)


小6の修学旅行中に、両親と幼い弟二人をハンマーで殴られ
さらに顔を打ち砕かれるという残虐な犯行で失った奏子。
親戚に引き取られ大学生になった奏子は、加害者にも同じ年の娘が
いたことを知り、正体を隠して会いにいくことを決意する。

一家惨殺の生き残りとして生きていかなければならなかった奏子。
事件のことを調べるうちに、殺された父にも人道的な非があったことを知るが、
生き残ったことへの罪悪感や加害者への憎悪が、ない交ぜになって
「毒素」のように身体じゅうを駆け巡ってしまう。
加害者の娘・ミホに対して、背負うべき苦しみの形を妄執することで
自分の苦しみが解放されるのか、逆に増幅してしまうのかも分からないまま、
ミホに接近し、殺人者への道を歩ませようとする。

加害者の娘は自分よりも深い傷を背負っていなければならない。
過去の忌まわしい事件・自分に流れる殺人者の血を忘れるな、思い出せ。

そんな思いに突き動かされ、ミホを陥れようと策略する奏子。

恋人へも素性や本心を打ち明けられない孤独、
そして修学旅行中に呼び戻されて遺体に対峙するまでの「4時間」の呪縛・・・


加害者の娘・ミホもまた、父を殺人者へ駆り立てた被害者の男を恨みつつ、
「私の父は死刑囚なんだ」と告白することから人間関係を始める生き方を選び、
結婚相手からは日常的に暴力を振るわれている。

加害者の娘と被害者の娘、それぞれの心の奥底に溜まった澱(オリ)を
丹念に積み上げるように描くことで、彼女らの必死な生き様、
痛々しい心の叫びが、リアリティを持って胸に迫ってきます。

ひとつ踏み外せばもろく崩れてしまうような危うい二人の関係が
徐々に深まり、変わっていき、緊迫したストーリーでラストへ向かっていきます。
あまりにも壮絶な過去を否応なしに背負わされてしまった二人の少女に、
心の呪縛から解放される時は来るのか・・・
最後まで引き込まれるように、のめり込んで読んでしまいました。
ラストも、「なるほど」と納得の着地点でしたね。

今まで敬遠していてもったいなかった・・・と思わせる、スゴイ作品でした。

第22回吉川英治文学新人賞受賞作品
[PR]

# by marin_star | 2006-07-11 22:10 | 野沢 尚  

殺人の門(東野圭吾・角川文庫)

なんと表現したらよいのか、非常に難しい小説でした。

お手伝いさんを雇うほど裕福な歯医者の息子、田島。
小学生の頃から地道に働くことより大きく儲けることに執着していた倉持。
この二人の小学生時代から青年期まで延々と続く因縁を
克明に丹念に綴っていく、地味といえば地味な物語です。

「あいつを殺したい」 ―― 多くの人間が願望のみに踏みとどまる
一線を踏み越えてしまうものは何なのか。
田島は、ささやかな自分の幸せを瓦解させ翻弄する倉持に殺意を抱くが、
口の上手い倉持の前に殺意は増幅したりしぼんだりを繰り返し、
その一線を越えることができない。

田島という男は、はたから見てもお人よしで、
意志が弱く、流されやすい、懲りない男。
なんでそこでまた騙されるかなぁ~…と思う場面が
何度も出てきます。
女にも免疫がなさすぎて、すぐにのぼせ上がっちゃうし。
言い訳を聞かされれば、すぐにコロッと言い含められちゃうし。

でも、こういう騙されやすい弱い人間って確かに存在すると思う。
そんな弱い男を、思うがままに「捨石」にしてまとわりつく倉持のような男も
たぶんたくさん居るんだろう。
そんな歪んだ因縁と、増幅したりしぼんだりを繰り返す殺意の行方を、
丹念に淡々と、しかし力強く描いている力作だと思います。

派手な展開はないけれど、なぜか読むのを止められない、
そんな作品でした。

ただ、解説にあったようなラストに登場する男の台詞や「友情」という言葉は、
まったく理解できませんでした。
田島と倉持の間には、歪んでいたにしろ「友情」なんかなかったでしょ。
あったとしたら、倉持の一方的な支配欲。
「田島のお人よしな性格は自分の予想の範疇を超えない」っていう程度の
信頼(?)みたいなものはあったと思うけど、
それを「歪んだ友情」というのはどうかなぁ?と思う。
他人の人生を手中に握ることでしか満足を感じられない男に目を付けられ、
いいように振り回されて憎悪と殺意に揺れ動く哀れな男の話、と
感じられました。
[PR]

# by marin_star | 2006-07-06 09:16 | 東野圭吾  

修羅の終わり(貫井徳郎・講談社文庫)

いや~、重かった・・・
貫井さんの重厚で読み応えのある叙述トリックの大長編です。
さまざまな事件・人物が登場し、とても複雑な構成ですが、
大きく分けて、次の3つの物語を軸に進んでいきます。

ある日突然、記憶を失った青年。
彼の前に「あなたは前世で私の恋人だったのよ」という女性が現れ、
偶然出会った昔の知り合いからは姉の死を知らされる。
なぜ姉は死んだのか?自分は誰なのか?

心の奥底にぞわぞわとうずく「蟲(むし)=邪悪な存在」を自覚しつつ、
売春組織を追う警官・鷲尾は、逮捕拘留した女性への強姦の濡れ衣で
警察を追われてしまう。
自分を陥れた人物への復讐、そして胸に巣食う「蟲」への衝動は
一気に増幅を始め・・・。

スパイ養成を任務とする“桜”としての密かな訓練を受け、
一般人をスパイとして操る「裏の公安」刑事・久我。
任務のためなら一般人の人格否定も厭わない冷酷無比な上司・藤倉の
やり方に戸惑いを感じながらも、藤倉に操られるように修羅の道へ
入っていく・・・。

この3つのストーリーが、
それぞれ同時進行なのかもはっきりと明かされないまま、
錯綜するようにかわるがわる展開していきます。
「どこで繋がるんだろう?」
「ここで出てくる人物は、他の物語のあの人物なのか?」
・・・とめまぐるしく頭をフル回転させながら読まさせられてしまいます。
ラスト1行まで真相が分からない!

読後に残された思いは、鉛のように重いです。
暴力・陵辱・憎悪・復讐・殺意・粛清・存在否定・・・
さまざまな邪悪なものが渦巻く「修羅」の道。
「修羅の終わり」に救いはあるのか?


読み終わると一気に疲れが出るほどヘビーな内容でしたが、
とても考えさせられました。
ずっしりと重いテーマ、張り巡らされた叙述トリック、
まさに貫井さんの本領発揮ですね。
「慟哭」と似たものを感じました。
[PR]

# by marin_star | 2006-06-23 12:32 | 貫井徳郎  

オロロ畑でつかまえて(荻原浩・集英社文庫)

荻原さんのデビュー作、ようやく読みました!
なぜか近所の書店に全然置いてなくて、
通勤途中わざわざ恵比寿で改札を出て本屋へ立ち寄り、GETしました~

面白かった~^^。

奥羽山脈の一角、小さな駅からさらにバスで2時間もかかる小さな牛穴村。
人口わずか300人、これといった特産もない典型的な過疎の村が、
村の存続をかけた「村おこし」を一念発起!
倒産寸前の弱小広告代理店・ユニバーサル広告社と幸か不幸か巡り会い、
やぶれかぶれの「村おこし」大作戦が始まります。

なにしろ、依頼主の山村の青年会も、引き受けた代理店も
切羽つまった後が無い状況!!まさに「最強タッグ」ならぬ「最弱タッグ」。
どう考えても普通ありえないでしょう~、っていうほどインチキな計画を
一致団結して一生懸命遂行するのです。

この一生懸命なドタバタぶりが、笑わせてくれると同時にホロリとさせられて
ついつい応援してしまいます。(笑)

登場人物もなかなか個性的です。
中でもユニバーサルのデザイナー・村崎の強烈なキャラが大好きですね~^^
クライアントの意向も社長命令も無視して、徹底して自分の作品のリアルを
追求する姿は、あっぱれ!

ラストも希望が見えて、とてもよかったですね。
頑張ればいいことあるよ!と思えるような、
ほっと心温まるユーモアあふれる作品でした!

続編ともいえる「なかよし小鳩組」も面白かったな~。
荻原さんのこういう作品をもっと読みたいですね。


第十回小説すばる新人賞受賞作品
2006年5月読了
[PR]

# by marin_star | 2006-06-09 12:28 | 荻原 浩  

なかよし小鳩組(荻原浩・集英社文庫)

「オロロ~~」で活躍(?)したユニバーサル広告社が
またまた笑わせてくれます。

相変わらず自転車操業・倒産寸前のユニバーサルに
「企業のCI」という大仕事が舞い込みます。
CI!!企業のイメージ戦略のために社名ロゴやスローガン、
さまざまな広告を任される、という「幸運」に、
お調子者の社長・石井は大はしゃぎ。
しかし、クライアントは「小鳩組」という指定暴力団だった!!

逃げるに逃げられない状況、まさに命を懸けて
必死に「大仕事」に奔走するユニバーサルの面々とヤクザとのやり取りが、
大マジメなだけに笑いの連続です。
「任侠展」には大笑いしちゃいましたー。

最初はビクビクしながら何とかやり過ごそうとしている彼らですが、
だんだんと広告代理店の意地を見せ始めます。
私の大好きなキャラ・デザイナー村崎のマイペースぶりも健在です^^。

アル中スレスレでバツイチのコピーライター杉山と、
別居中の小学生の娘・早苗との物語が、また胸にじーんときます。
(この早苗のキャラがまたサイコーです!)
「ダメな父ちゃん」だった杉山が、離れ離れになった娘に
頑張ってるところを見せようと、ひたすらに走るラストは、
思わず熱いものがこみあげます。

たっぷり笑えて泣ける、荻原さんならではの素敵な作品でした!
ぜひ「オロロ畑でつかまえて」とセットで読んで欲しいなと思います。


2006年4月読了
[PR]

# by marin_star | 2006-06-09 12:23 | 荻原 浩