<   2007年 11月 ( 3 )   > この月の画像一覧

 

チームバチスタの栄光<上・下>(海堂 尊・宝島社文庫)

第4回「このミス」大賞受賞作、待望の文庫化です!
いや~~、マジで待ってましたよ!
書店で平積みされた単行本に何度も手が伸びかけましたが、
ようやく読めました!

上下巻でなくてもよかった気がしますが、それはさておき、
やっぱり面白かった!!

「チーム・バチスタの奇跡」といわれ、輝かしい成功を重ねてきた
東城大学医学部付属病院バチスタ手術チーム。
連戦連勝のこのバチスタ手術が、つい最近3例の
原因不明の術中死が連続発生。
同病院の通称・愚痴外来の万年講師・田口は、病院長自らの依頼により
内部調査を始めることになる。

読み始めはちょっと手こずりました。
いろんな導入部が次々と語られるわりには、グイーッと引き込まれる感じが
イマイチ無くて・・・

でも、田口の聞き取り調査が始まって、関係者の一人一人の個性が
ぶつかり合い始めたら、俄然面白くなりました!!

バチスタ手術の様子や専門的な用語が分からないと
少しイメージしにくいかもしれませんが、
ちょうどドラマ「医龍2」を見てるところなので、分かりやすかったです。
執刀医・助手・麻酔医・臨床工学士・看護師それぞれの仕事や関係も
おー、まさに医龍の世界!って感じで。(笑)

(「医龍2」で阿部サダヲ演じる麻酔医が、この作品に出てくるのとそっくりな台詞を
言ってた!この作品のパクリでしょうか?アリなのかなぁ~?^^;)

途中から登場する強烈な個性の白鳥を始め、登場人物がものすごく個性があって
うまいな~~って感じです。
深刻なテーマなのにところどころにユーモアもあって。
田口のちょっとボケッとしていながら実は鋭いキャラも良かったし、
病院長やフジさんも物語が進むにつれ、どんどん魅力を増していきます。
いろんな個性のぶつかり合いが、どんどん物語を転がしていく感じで
特に白鳥登場以後の下巻は、読み出すと止まらない!

何が問題なのか分からないまま進んでいく最初の展開にボーっとしていると、
あれよあれよという間に緊迫した光と闇の世界に巻き込まれていた、って感じで、
その筆力には脱帽です。

満場一致であっという間に大賞に決まった・・というのもうなずけます。


この「田口&白鳥」コンビの続編もあるんですよね。
「ナイチンゲールの沈黙」と「ジェネラル・ルージュの凱旋」。
文庫になるのはいつのことやら・・・
でも絶対読みたいです!
[PR]

by marin_star | 2007-11-16 22:25 | 海堂 尊  

六番目の小夜子(恩田 陸・新潮文庫)

これもかなり前に購入したものの、怖そうだなぁ~~~と思って
なかなか読めなかった本です。
(なんか学校の怪談っぽい話?って気がしてて・・^^;)

しかし!
全然怖くなかったし、すごくすごく面白いお話でした!
紹介してくれたNさん、ありがとう♪

十数年にわたり生徒の間だけに受け継がれてきた、
3年に一度密かに使命を与えられる「サヨコ」。
前年度の卒業式に誰にも知られずに任命された「サヨコ」は、
秋の学園祭で学園祭実行委員会が上演する劇の台本を
自分で書きあげるかどうかを選択・実行しなければならない。
誰にも自分が「サヨコ」だと悟られることなく。

全校でたった一人選ばれるはずの「サヨコ」だが、
6番目の「サヨコ」がすでに選ばれ活動開始する始業式の日に、
謎の転校生・沙世子が出現。
受け継がれてきた伝統ともいうべきものが徐々に狂い出し、
なんだか背中がぞわぞわするような事件が起こっていきます。

ミステリアスな美少女・沙世子、沙世子に憧れる雅子、
雅子に想いを抱く由紀夫、「サヨコ」の伝統に詳しい秀才の秋(しゅう)。

この4人がそれぞれの思いを抱えながら、
かけがえのない高校最後の1年間を過ごしていきます。
「学校」という閉じた世界の中で、懸命に、恋や友情、学校生活、受験、
そして「サヨコ」の謎に向かっていく登場人物たち。
あの頃の一生懸命な気持ちを思い出しますね~
10代のキラキラした感情が切なく爽やかに描かれていて、
恩田さんらしいなぁ~、って感じです。

どの登場人物も魅力的で、会話にすごくリアリティがあります。
あ~、高校の時ってこんな感じだったな、って^^。
特に恩田さんは男の子のキャラクター設定がものすごく上手いなって思いますが、
今回は秋クンがよかったですね~^^
(秋クンのお父さんもよかった。)

そして中盤のクライマックスの学園祭。
「サヨコ」の劇の場面はものすごく上手い!!
目で文章を追いながらもその場で参加しているような緊張感と臨場感があって
すごかった。
会場内がどんどん緊迫して恐怖に包まれていく様子がものすごく伝わってきた!
恩田さん、ほんとにスゴイです。

後半、ラストへの展開も読み応えありましたね~。
謎の真相も意表を衝いた展開で。
ひんやりするような怖さを秘めながら、
切なさと爽やかさが残る、そんなお話でした。

またもうちょっと経ったら再読してみたいな~^^


これ、恩田さんのデビュー作だったんですね。
しかもすぐに絶版になった「伝説のデビュー作」だとか・・・
新潮文庫さん、文庫にしてくれてありがとう^^
[PR]

by marin_star | 2007-11-14 12:45 | 恩田 陸  

水の時計(初野 晴・角川文庫)

ずーーーっと前に購入していたんですが、
なんとなく読みそびれて積ン読の中に埋もれてました。

早く読めばよかった!!
すごく良かった!

童話「幸福の王子」の引用が冒頭にあるように、
脳死状態にある少女・葉月が自分の身体の全てを
必要とされている人々に分け与える・・・という寓話のようなミステリです。

脳死状態にありながら、月明かりの夜だけは特殊な装置越しに
言葉を伝えることができる葉月。
暴走族ルート・ゼロの幹部の一人・昴(すばる)は、
別の幹部仲間との対立からルート・ゼロを追われる身となり、
彼女の臓器を移植する患者を選び、届ける役目を負うことになる。

角膜・皮膚・腎臓・・・と移植のために切り取られ、死んでいるとされているのに、
言葉を持っている葉月。
何をもって「生」なのか?「死」といえるのか?

医療が進んだゆえに生まれてしまった、
「生」と「死」の狭間で「死に続けている」葉月のような苦しみ。

「死んでいく自由」
医療の進んだ現代において、たったこれだけのことがどんなに難しいことか。


ドナー不足や臓器売買、移植の斡旋詐欺、未成年の臓器提供の制約など、
「与える自由、与えられる自由」という重いテーマを根底に据え、
臓器移植に関わる現代の問題もきちんと捉えながらも、
胸を打つ美しい物語になっています。

葉月の願いをひとつひとつ叶えていくごとに昴が関わっていく人々との物語が
1話ごとに語られつつ、
昴を追う刑事や、腎臓移植の斡旋詐欺を追うフリーライター、
昴を追い続けるルート・ゼロの幹部との緊迫したストーリーが
展開していき、グイグイと引き込まれるように読んでしまいました。


いろいろと考えさせられるテーマを内包している物語ですが、
読んでいる最中はその重さが邪魔をすることはなく、
物語(ミステリ)としてとても面白くグイグイ読まされます。

これだけ重いテーマを扱っていながら、透明感のある美しい物語、という
不思議な印象を持ちました。
読後感も良いラストでとてもいい作品でした。


初野さん、他の作品も読んでみたいです。


第22回 横溝正史ミステリ大賞受賞作
[PR]

by marin_star | 2007-11-13 23:35 | 初野 晴