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メリーゴーランド(荻原浩・新潮文庫)

荻原さんのひさびさの文庫新刊♪
くすくすっと笑えてちょっとしんみり・・・
実はけっこう深いお話でしたね~。

過労死続出のメーカーを辞めてUターンし、公務員となった啓一。
愛する家族と平穏無事な生活を送っていたかと思ったら、
超赤字のテーマパーク再建の推進室へ移動になり、
ヤル気のない同僚やとんでもない天下り理事たちに囲まれながら、
再建のための一大イベントに向けて孤軍奮闘しなければならなくなった・・・。

孤軍奮闘・・・といっても、頼りになるんだかむしろ爆弾を抱えてしまったのか
分からないような、強烈キャラの外部スタッフが次々と加わってきて、
もー、アクが強いのなんの・・・って(笑)
ふたこぶらくだの劇団員たちや、宮大工修行中のシンジとその取り巻きの
「鉄騎隊」の若者たち・・・ものすごい魅力あふれる面々が
パワフルにぶつかり合いながらイベント当日に向けて徐々にそのパワーを
集結させていきます。
こういうのが荻原さんの上手いところで、思い切り笑わせてくれるし、
一気に読ませる面白さはやっぱりさすが^^

「オロロ~~」や「なかよし小鳩組」を思わせるテーマですが、
ガハハっと笑えた「なかよし~~」よりも、もっと苦くてシニカルです。
一大イベントが成功するか否かの盛り上がりまででハッピーエンドかと
思いきや、そこからがまさにこの本の読ませどころだったわけで、
たたみかけるように切なく苦い急展開に。
(ネタバレになっちゃうので、あんまり詳しく書けないんですけど・・・^^;)

お父さんの仕事を作文に書く、という息子の言葉に自己問答する啓一の姿や、
劇団ふたこぶらくだの「豆男」の話、不思議の国のアリスの話が
物語に上手く絡んで、何も起こらない平穏無事な生活に満足していた啓一に
「何か起こさなきゃ何も始まらない」前向きな気持ちを起こさせます。

ラストは荻原さんらしく、堂々と前を向いた主人公が爽やかで、
素敵なラストでした。
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by marin_star | 2006-12-09 23:04 | 荻原 浩