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被害者は誰?(貫井徳郎・講談社文庫)

へぇ~、貫井さんもこういう小説を書くんだ・・・
というのが、正直な感想です。

なにしろ、今まで読んだ貫井作品は
「慟哭」と「症候群」シリーズなので。。。
今回の作品はとんでもなく意外で、作者名を伏せられたら
貫井さんだとは絶対気付かないでしょう~。

以下、未読の方・これから読もうという方はお読みにならないでください。
(個人的見解ですが、あまりいいことは書いていません。)


「被害者は誰?」「目撃者は誰?」「探偵は誰?」「名探偵は誰?」の
4編が収められている、いわゆるフーダニットの連作集です。

最初に言っておきますと、
もともと私は、誰かが最後に推理を披露して解決してしまうだけの小説が
好きではありません。
(もう、これだけでかなりこの作品は分が悪いです・・・)

かなり軽い文体で、登場人物も軽いです。
肩のチカラを抜いて、ヒマつぶしに読むにはいいのかも。

でも、私はあまり笑えなかったし、「本格推理」ということですが、
ふ~ん、って感じでした・・・

現職刑事が、知り合いの切れる人物に事件の相談をしにいって、
その人物が事件のあらましを聞いただけで解決してしまう。
・・・こういう設定で思い浮かぶのは、東野作品の草薙&湯川。
湯川くらい個性が強烈だと面白いんですけど。

この作品の吉祥院慶彦は、
「著者近影を見ただけでも失神してしまうほど美形で
超天才のベストセラー・ミステリ作家」と書かれているものの、
それがあまり物語に生かされてない感じです。
吉祥院が「美形」であるがゆえに解決できた事件とか、
笑いを誘うエピソードがないので、
美形でなくても関係なかったじゃんって思うのですよ。

後輩をこき使う性格の悪さと図々しさ、その後輩とのかけ合いなんかは
ところどころクスっと笑えるところもあったけど、
それほどでも・・・って感じかな~。

「痛快無比!」「本格推理の傑作」というコピーには騙されました。
4編読んだものの、あまり心に残るものがなく、
すでに内容をあんまり思い出せません~~。
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by marin_star | 2006-05-26 12:17 | 貫井徳郎  

陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎・祥伝社ノン・ノベル)

もう、絶妙のタイミングでの出版ですね!
「地球を回す」の映画化・公式ブック・コミック化・・と
とどまるところを知らないギャングワールドが増殖中なんですから。
なんて幸せ!!

まず、目次のページを読んだだけで、伊坂ワールド満々で
ワクワクしてきます。
第1章は、「巨人に昇れば、巨人より遠くが見える」とか
「毛を刈ったヒツジには、神も風をやわらげる」といった
外国のことわざがタイトルの4編。
4人それぞれがこのことわざをボソッとつぶやくような
「ギャングたちの日常」が短編風に書かれています。
(もともと独立した短編として書かれたものを
大幅に改稿しているということです。)

ちょっとした事件に立ち会ったりしながら、嘘を見破ったり、
財布を掏ったり、饒舌に演説したり、正確無比な体内時計ぶりを
ちょこっと披露しながら、それぞれに過ごしている4人。
けっこう淡々としながらもスパイスの効いた日常ぶりの中に、
何か起こりそうなワクワクした感じが潜んでいる・・といった雰囲気です^^。

そして第2章以降、「きたきた!」と思わず頬が緩んでしまうような、
ドキドキの展開に。
4人の日常に登場した「ちょっとした事件」が、次々と絡み合って
見事な「襲撃劇」の始まりです!
複雑な伏線やプロットが後から後からどんどん繋がってきて、
連鎖してたたみかけるように展開していきます。
個性派揃いの登場人物たちが思う存分、本領発揮!
これこそ、最強4人組の面白さ!

相変わらずクールな成瀬はカッコイイし、今回特にコンビともいえるほどの
響野と久遠のボケとツッコミ(というより両ツッコミ?)ぶりは
笑いっぱなしの面白さ!
雪子さんは前回の失敗をチクチクと指摘されながらも
今回は余裕のある大人のオンナっぷりです。

前作よりもさらにどんでん返しの連続で、最後の柔道チーム(?)の出現や
南米のネタには大笑い。またしても伊坂ワールドにヤラれてしまいました^^。

クククッと笑ったり、ぷぷっと吹き出したり、ふふふっと笑いがこみ上げたり、
あはははっ!と大笑いしたり。
とにかく楽しめること間違いなし!

会話ひとつひとつが、どれをとっても絶妙なテンポのよさ、
くだらない会話でもいっさいムダがありません。
本当に伊坂さんの作品は会話のセンスが抜群!


それにしても、もともと別々の短編だったものから
こんなに面白い長編を作り上げてしまうなんて。。。スゴイよ、伊坂さん。
4人組に愛着があればこそ、って気がしますね♪

「地球を回す」を未読の方は、読んでからのほうが楽しめます。

やっぱり「地球を回す」の映画も観に行きたいなぁ~。
平日仕事サボって行っちゃうか??^^;
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by marin_star | 2006-05-23 08:06 | 伊坂幸太郎  

神様からひと言(荻原浩・光文社文庫)

だいぶ前から本屋で手にとっては、ちょっとためらっていた作品。
「書店員さんが大絶賛!」って帯の文句、
ちょっと引いちゃいますよ・・・しかも、物静かな地味めの装丁。
でも
この間、どうしても欲しい本が他になくて、
「やっぱり荻原さんだし。読んでみようかな」と購入。

面白かった!

導入部は大真面目な仰々しい会議の様子から始まります。
「うーむ・・・・ずいぶん硬い話?」と思ったのですが、
すぐに、その大真面目な会議の本当の中身に大笑い。

ここから一気にユーモアあふれる荻原節が全開です!

広告代理店をクビになって珠川食品に再就職した凉平は、
新製品の企画会議で話の分からないダメ上司たちにイライラして
喧嘩を起こしてしまい、「お客様相談室」へ左遷。
一緒に暮らしていたリンコにも突然出て行かれてしまい、
プライベートも仕事もメタメタ。

相談室にかかってくるクレーム電話は、
ろくでもない製品を販売しているおかげでとんでもないものばかり。
このクレーム対応ぶりがめちゃめちゃ笑えます。
(実際問題、こんな対応してたら会社潰れますけどね~^^;)

しかも、相談室はリストラ寸前の社員が追い込まれてくる吹き溜まりで、
一癖も二癖もある変人揃い。
加えて、ダメ上司やなにやら謎の「明石町」と呼ばれるお婆さんなど、
濃いキャラが目白押し。
この素晴らしく個性的な登場人物だちが、ものすごく効果的に
絡み合って、思わずぷぷぷっと笑ってしまうのですよ。

中でも、相談室の先輩格・篠崎のキャラがすっごいイイ味出してます。
ふだんは競艇にハマってフラフラしているのに、
ことクレーム対応に関してはプロ中のプロ。
ヤクザだってうまく追い返してしまいます!
これが痛快!

笑いに笑って、最後はホロっとしてしまい、
生きる希望がふっとわいてくる。
そんな荻原節がたっぷりと楽しめました!

荻原作品は少し当たり外れを感じるところがありますが、
これは文句なく「大当たり」でした~^^
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by marin_star | 2006-05-15 23:16 | 荻原 浩  

もつれっぱなし(井上夢人・講談社文庫)

「オルファクトグラム」・「クリスマスの4人」以降、
久々の井上作品文庫化!と、中身も確かめず購入。
会話だけで構成される短編集、ということで、
井上夢人なら面白いはず・・・と期待したんですが。。。

↓これから読もうという方は、以下読まないことをおススメします!<追記>↓
(今さらの追記で申し訳ありませんが・・・^^;)



最近の中でワースト1のつまらなさでした。。。
(スミマセン!)

6篇の短編が収録されていますが、
1作目の途中から、もうダメでした。

何がおもしろいのかさっぱり分からない。

6篇の中でも同じような状況が繰り返し出てきて
「あれ?またおんなじこと言ってる?」みたいなとこもあったし。

「会話だけで小説が書けるのか?」
作家側からするとおもしろいチャレンジだったのかもしれませんけど。

申し訳ないけど、リサイクル行き決定です。。。(涙)
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by marin_star | 2006-05-13 22:18 | 井上夢人  

超・殺人事件-推理作家の苦悩-(東野圭吾・新潮文庫)

またまた東野さんのブラックユーモア作品集です。

ミステリ作家の東野さんがこんな本を出版してしまうこと自体が
まんまブラックです~。

税金対策のために、小説を書くための経費を捻出しようと
ストーリーを捻じ曲げてしまう「超税金対策殺人事件」から始まる8編の短編が
次から次へとブラックな笑いの世界へ引きずり込んでいきます。

「超理系殺人事件」では冒頭のタイトル下に
  この小説が肌に合わない方は飛ばし読みしてください。
と書いてある・・・
理系オンチの私はマジで途中、飛ばし読みしそうになりましたよ~^^;
そしてそんな読み方が正しかったと笑ってしまうオチがまたスゴイ。

問題篇と解決篇に分かれている「超犯人当て小説殺人事件」は、
ブラックな中にもちゃんと謎解きも仕組まれてて、
なるほど!と唸らされるし、
どんな小説も一瞬にして読破して書評を作成してしまう機械“ショヒョックス”に
頼る書評家たちを辛辣に笑い飛ばす「超読書機械殺人事件」も面白い。

他にも
 「超高齢化社会殺人事件」
 「超長編小説殺人事件」
 「魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)」
などなど、もうタイトルを見るだけで
くだらなそうな面白そうなワクワクする感じ。
そして、それを裏切りません!

当事者がこんなにおちょくっていいのか!?と思えるほど
ミステリ業界を笑い飛ばしてしまう東野さんのクールさに
またヤラれてしまいました^^

これは電車の中などで読むと「クククッ」という感じの笑いをこらえられないので
こっそり人気のないところで読むことをおすすめします。

しかし・・・・
この文庫、2004年5月に刊行されたのに2006年1月にやっと二刷です。。。
こんなに面白いのに。
東野さんは作品数が多いので、やはり相当なファンでないと
ここまで手に取らないかもしれませんね。残念。
直木賞受賞後、今まで取り扱ってなかった書店でも平積みしてたので、
こういう作品にももっと光があたるといいなぁ~。


2006年3月読了
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by marin_star | 2006-05-11 12:05 | 東野圭吾  

K・Nの悲劇(高野和明・講談社文庫)

ホラー苦手の私ですが、高野作品ということで
チャレンジしました。。。
いえ、決してホラーではないと思います。
でも、極端に怖い話がダメな私にとっては十分怖かったんです~~(汗;;)

フリーライターとして突然脚光を浴びた修平と結婚、
新しいマンションで生活を始め、すぐに妊娠した果波。
印税をあてにして購入してしまったマンション、
二人の新しい生活へいきなりもたらされた「妊娠」。
修平は中絶を望み、
果波は「本当は子どもを産みたい」という願いを無理やり封じ込めるが、
心のバランスを崩した果波は突然何かがとり憑いたかのように
異常な行動を起こしていく・・・・。

精神の病なのか、それとも死霊の憑依なのか・・・?

二重人格者のように変異する果波と一緒に暮らす修平の恐怖が
そのまま私の恐怖となって迫ってきて怖かった~~
(読後数週間、髪を洗うときに目がつぶれなかった・・・^^;)

精神科医・磯貝のストーリーも物語に厚みを出していて、
このあたりはさすが高野さん、という感じです。

飽きさせず最後までハラハラしながら読むことができましたが、
もともとの出発点(修平が経済的なことを理由に中絶を選び、
果波も不本意なのにそれを受け入れてしまうこと)には
納得がいきません。
でも現実的には、そんな事情で堕胎してしまう親になれない人たちが
たくさんいるということかもしれませんね。。。

2006年3月読了
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by marin_star | 2006-05-11 08:21 | 高野和明