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鳥人計画(東野圭吾・角川文庫)

日本スキージャンプ界のエース、天才ジャンパーの楡井が毒殺される。
楡井は天性の明るさと屈託のないキャラクターで、
才能を羨む者こそあれ、憎む者などいない男だった。
警察の捜査が行き詰る中、犯人を告げる密告状が・・・

犯人探しのミステリではなく、完璧を自負していた計画に気付いた密告者を
犯人が推理する・・・というひねり方が、地味ながらも東野さんらしい作品だな、
と思います。

殺人事件の動機というものは、どんなものにしろ
自己中心的な理由からだとは思いますが、
あまりにも身勝手な自己愛から生まれた殺意に、楡井が可哀想になります。

最近、ラストの展開に納得いかないミステリが多い中で、
やっぱり東野さんはラストまで素晴らしい、と改めて思います。
緻密な伏線やプロットにブレが無く、最後の最後に必ず驚きのどんでん返しや
余韻のあるラストを用意してくれるのは、さすがです。


しかし、スポーツが舞台のミステリというのはやはり難しいですね。
そのスポーツの知識がある程度あったほうが楽しめると思います。
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by marin_star | 2005-11-24 22:38 | 東野圭吾  

誘拐の果実<上・下>(真保裕一・集英社文庫)

久々の真保さん作品です。
(「ダイスをころがせ!」は食指が動かず読んでないので・・・)

犯人の要求は入院中の患者の「死」!・・という、
前代未聞の誘拐事件に続いて、
身代金を株券で要求する、という別の誘拐事件も発生。

見えない犯人に対して闘いを挑む、
それぞれの事件に関わる警視庁の桑沢と神奈川県警の加賀見。
そして浮かび上がった意外ともいえる容疑者たち。

事件解決のクライマックスまでは、緊迫感のある展開で
今までに読んだことのない2つの誘拐事件がどんな解決をみるのか、
ものすごくワクワクしながら読み、惹き込まれました。

容疑者は早い段階で絞り込まれてしまいますが、
彼らの真意を知ろうとする家族たちの再生の物語にもなっています。

ところが・・・
緻密な計算のもとに仕組まれた2つの誘拐事件、と思ったら、
ちょっと違うんですよ、最後が。
裏表紙に「感動のラストへ!」と書いてあるんですが、
なんで無理やりこういうラストに持っていくのかな・・と。
最後の章の犯人たちの真意、というのが、読後しばらくすると
ムクムクと違和感が膨らんでしまいます。
犯人のキャラクターも最後の章になってギャップがありすぎ、
(いい意味での意外性というのとは違う、ありえない違和感。。。)
動機や犯人たちのその後もなんだかちょっと都合よすぎる感じ。

残念だなぁ・・・

日本人的な甘い「感動のラスト」ではなく、もっと切なく胸打たれるような
鋭い結末のほうが似合っていたように感じます。
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by marin_star | 2005-11-24 12:29 | 真保裕一  

どちらかが彼女を殺した

最後まで読んでも犯人が明かされない・・・と噂には聞いていて
なかなか手に取れなかった作品です。
だって、犯人が分からないミステリなんて読んでも消化不良のままで
スッキリしないじゃん!、と思ってて・・・^^;

確かに最後の最後まで、『えーっ!ちょっとー、どっち?どっちが犯人??』と
思っているうちに話はジ・エンド。
うっそー・・・・く、悔しい・・!
思わず、何度もページを繰り、あーでもない、こーでもない、と推理しまくり^^;。
『俺はこの目でその瞬間を見ていた』って何を見ていたの???
利き腕が鍵なんだよね・・・破壊にはメッセージ???
あー、ゴミ箱に何が入ってたっけ~???
う~~~む・・・・・(* -"-)

あっ!・・・♪そっか~~~、分かった!!合ってる?合ってるよねぇ・・・?

なんとか結論を導き出したものの、それで合っているのか確信が持てない。
やむなく、巻末の袋とじ解説(文庫にだけ付いてるらしい)を鋏でチョキチョキ・・・
なんか、本に鋏を入れること自体にちょっと抵抗もありますが。。。
ココを読んでも犯人を名指しで書いてあるわけではありませんが、
なんとなく裏づけは取れた気がして、一応スッキリ。
とことん推理したい方は、袋とじは覗かないことをおススメします。

事件としては三角関係のもつれ・・というすごくシンプルなものですが、
妹の復讐のために他殺の証拠を隠滅する警官の兄と、
他殺を確信し真実を追求する刑事との緊迫した心理戦が読み応えあります。
まさに『推理する』醍醐味を堪能できる作品でした。

『私が彼を殺した』は、さらにその醍醐味がパワーアップしているとか・・・
楽しみです。
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by marin_star | 2005-11-03 22:55 | 東野圭吾  

犯人のいない殺人の夜(東野圭吾・光文社文庫)

もともと短編集の苦手な私。
どっぷりと感情移入しながら物語にハマって読むタチなので、
短い話が続くと気持ちの切り替えがついていかないのだ。

しかし、最近ずっと仕事が忙しくて本を読む時間もコマ切れでしか確保できず、
ちょっと気分転換に読めるものを・・・と選んだのがこの本。
短編って、なんかあっという間に話が展開していって
サラッとしすぎて読後感が何も残らなかったり、
登場人物も限られてるので先が読めちゃったりして、なぁ~んだやっぱり・・・
みたいな気分にさせられることが多いのですが、やっぱり東野さんは違う!
短い物語のどれにも、あっ!というどんでん返しがあり、
綿密に計算された結末が用意されています。

一気に読まずに、一つの作品ごとに間をあけて読んだのも良かったのかも。
続けて読んでしまうと、とても疲れてしまいそうなほど濃密な短編集です。
忙しいときこそ良質の短編!
この本で随分『本が読めないストレス』から開放されました~
東野さんに感謝♪
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by marin_star | 2005-11-02 22:38 | 東野圭吾  

半落ち(横山秀夫・講談社文庫)

文庫化になってすぐ読んだのですが、レビュー書くのが遅くなりました・・・

この作品の映画化で初めて『半落ち』という言葉を知りましたね。
私にとっては、映画化が先でよかったかも。
寺尾さんの存在がなかったら、この作品の良さは理解できなかったかもしれません。

この話の中でとても重要なのが、寺尾さん演じる妻殺しの警察官・梶の
『澄み切った眼』『心の窓』『物静かで穏やかな目』。
取調べにあたる刑事や、検事、新聞記者や弁護士、裁判官・・・
梶に深く関わる周囲の人々が、彼の『眼』に秘められた想いを、
何を秘めているのかも分からぬまま守ろうとする。
もしかしたら小説の描写だけでは、なんで周りの人がここまで?と思ったかも。
寺尾さんのイメージがあったからこそ納得できた部分があったかもしれません。
(私の想像力が足りないのですね・・・)

もう一つ、実感として分からなかったのが、
なんで『空白の2日間』や『歌舞伎町』に、こんなにもナーバスになるのか・・・。
もし、梶が警察官でなかったら、きっとこれほどこだわらずに、
ベルトコンベヤーに乗せられるように刑が確定していくんだろう、と
思わず身震いしてしまいました。
梶が心の内に秘めた思い、というのも、もうちょっと深みがあるのかと・・・

やはり話題になりすぎて期待が大きすぎたでしょうか。。。
ちょっと辛口のレビューになってしまいましたが、面白い作品ではありました。
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by marin_star | 2005-11-01 23:56 | 横山秀夫  

虚貌<上・下>(雫井脩介・幻冬舎文庫)

なかなか読み応えのある作品でしたが、ラストが残念な感じ。
雫井さんはミステリに向いていないんじゃないか?と思ってしまいました。
(未読の方、これから読もうと思っている方は、以下お読みにならないでください!私の個人的感想が作品を堪能する邪魔になっては困りますから・・・)


『火の粉』もこの作品も、人間の業(ごう)というか、
内面の鬱積した負のエネルギーを描写するのは本当に見事だし、
登場人物の設定やリアリティというのも素晴らしいと思います。
ただ、ミステリとしてこの作品の犯人は
「えー!反則じゃない~?」と思ってしまった…
『意外な犯人』というのはよくあるパターンですが、それともちょっと違う。
意外を通り越して、なんでこっちの人が犯人なのさっ!(怒)って感じ・・・。
なんか、ここまで物凄いリーダビリティーで読ませておいて、
その結末はないんじゃないの?ってちょっとガックリきてしまいました。

本当に、結末意外はすごく楽しめたんです。
読んでる最中ものめり込みました。
登場人物それぞれの『貌(かお)』に対峙する生きざまがぶつかり合い、
緊迫感のある展開にハラハラしながら上下巻を一気に読み進めました。
だからこそ、この結末には納得いきません。。。

『栄光一途』もそうだったんですよね。
「え?そんな犯人で終わらせちゃうの?」と、
なんか一生懸命誰が犯人か考えてた自分が
バカらしくなってしまうような終わり方でしたね。。。
登場人物は魅力的だったんですけどね。
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by marin_star | 2005-11-01 23:11 | 雫井脩介