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北京原人の日(鯨 統一郎・講談社文庫)

銀座の街中で突然空から軍服を着た老人が降ってきた・・・
墜落死した謎の老人のポケットには北京原人の化石が!
北京原人の化石は、第2次世界大戦の開戦直前に行方不明になった
人類史上貴重なモノで、その全貌発見に2億円の賞金が懸けられた!
北京原人の化石に秘められた、人類史をもひっくり返すという謎とは?


導入部や前半までは面白かったんですが・・・
人物の設定や、北京原人の化石や老人の死に絡む謎が
提示されていくプロットはテンポも良くて
一体どんなスゴイ秘密が??と期待が膨らんで早く次を読みたい!って
感じだったんです。
でも、最後の展開はなんかあんまり盛り上がらずに終わってしまった感じで。。。
そんなに簡単に謎が解けるんだったら、戦後もっと早く判ってたでしょ・・って
冷めた展開でしたね。
謎解きが妙に説明っぽいのも残念でしたし。

素材が面白かっただけに、もったいなかったなぁ・・・
歴史が苦手でも楽しめるミステリ、と解説には書いてありましたが、
ちょっとそれは難しかったかも。

*-------------------------------*
『その他』のカテゴリを作りました。
他の作品は読まないだろうなぁ・・・って時に。ゴメンなさい。
『その他』にも入らず、レビューも書かない作品もあるんですけどね^^;
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by marin_star | 2005-04-25 12:20 | その他  

13階段(高野和明・講談社文庫)

2003年に反町隆史主演で映画化されたときから、
文庫になるのをずっと待ってました^^;
2004年夏に文庫化されてすぐ読んだんだけどレビュー書いてなかったので、
久々に取り出してパラパラめくっていたら、また猛烈に読みたくなり、
一気に再読。

結末を知っていてもスリリングな展開に引き込まれてしまう面白さ!
むしろ知っているからこそ、張り巡らされた伏線が際立ち、
あ~そういうことか、と改めて納得したり、
初読では気づかなかった主人公や南郷の心の琴線にも触れられた気がして、
あ~、深いなぁ~~・・・と。

死刑を執行しなければならない『職業』が存在するなんてこと、
この本を読むまで考えたことがなかった。
神でもない人間が、必死に命乞いをする人間の命を絶たなければならない・・・・
想像を絶する刑務官の苦しみがあるからこそ、
冤罪の死刑囚を仲間に殺させてはならない!という南郷の強い思いに
説得力が生まれ、この物語が成立したのだと思います。


*余談・・・・・・・・・・・
映画は観ていません。
予告だけTVで見て勝手に、冤罪の死刑囚・樹原=反町クン、と思っていた私^^;。
小説を読んだあとで、三上=反町クンであることを知り、
どうにもイメージが違う・・・
よくよく考えれば、出番の少ない樹原を反町クンがやるハズないんですけどね。
原作者の高野さんが映画化された内容に満足していない、ということですし、
たぶん、これからも観ることはないでしょう・・・。
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by marin_star | 2005-04-21 08:41 | 高野和明  

ビッグボーナス(ハセベ バクシンオー・宝島社文庫)

第2回『このミス』 優秀賞受賞作品。

パチスロの裏情報を売って稼ぐ攻略情報会社が舞台。
私はパチンコもパチスロも全くやらないので(むしろあの騒音は大嫌い・・・)
購入までかなり迷ったんですが(笑)、
解説を立ち読みしたら、
  大賞の『パーフェクト・プラン』とのダブル受賞でも
  よかったのでは?というほどの才能―――
と書いてある!これはやはり読んでみるべきでしょう、ということで。

面白かったです^^。

パチンコとパチスロの違いも分からない私には、
業界用語はかなりキツかったですが、
そのへんは分からないまま読んでも全然オッケー!(笑)
ガセネタの『攻略法』を法外な値段で売りつける悪徳商売を生業とする主人公。
大金が動く業界には当然ヤクザが出てきて、街中で拳銃をぶっ放したり、・・と
はちゃめちゃな展開になるのは当然至極。
展開としてはどんどん重くダークになっていくんだけど、
軽妙なタッチでグングン読めてしまいます。

よくよく冷静に考えれば、そんな何人も死んでて恋人が輪姦されて、
それでいいのか??って甘い展開なんですが、
なんかそれでも許しちゃうような独特の軽妙な筆致が魅力なのかもしれません。
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by marin_star | 2005-04-19 12:07 | ハセベ バクシンオー  

症例A(多島斗志之・角川文庫)

『分裂病』・『境界例』・『解離性同一性障害』・・・
メスでは直せない病だからこそ、実態が分かりにくく、
また治療法も難しい。

今までは、そんな認識だけでしたが、この本を読んで、
治療以前に病名の判断をすることがこれほど難しく、
最初の一歩を間違うとこんなにも恐ろしいのか、ということを
初めて知りました。
同様の症状でも病名が違えば、患者への医師の態度さえも
180度違うものが要求される―――――。
常に両方の可能性を考慮し、診断に悩む精神科医の過酷な内面が
よく伝わってきました。

多重人格モノではダニエル・キイスの『24人のビリーミリガン』が有名ですが、
やはりそれに比べると、複数の人格が出現するまでの精神科医の苦闘や
入れ替わるときの描写、最後の展開などに物足りなさを感じたのは
残念でした。

むしろ、関わった医師や周囲の人間をズタズタになるまで振り回してしまう、
『境界例』という病を最後までもっと突き詰めて欲しかったなぁ・・。

物語の展開としては、
精神科の問題に絡めて、戦時中の美術品の模造事件が掘り起こされ、
ミステリとしても読み応えがありました。
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by marin_star | 2005-04-17 12:37 | 多島斗志之  

沈むさかな(式田ティエン・宝島社文庫)

これも『四日間の奇蹟』と一緒に購入して、ずいぶん前に読みました。

実は、つまらなかったんです。ゴメンなさい・・・。
(既読で面白かった!という方やこれから読もうと思っている方は、
以下お読みにならないほうがよいかと・・。)

第1回『このミス』優秀賞。舞台が湘南の海、『ダイビングミステリー』という
キャッチコピーにも惹かれ、かなり期待してたんですが。

掴みどころのない現代の若者社会の中に潜む苦悩や苛立ち、
友人の死の疑惑や、胎児の生体利用という国際的陰謀も盛り込まれ、
独特な透明感のある文体で物語が展開していくのですが・・・

どうも物語の中に入り込めないんです。
主人公のカズが傾倒してしまうCP(TV局のチーフ・プロデューサー)は
如何にも怪しげで、なんでこんな人を信用しちゃうんだろ・・って思うし、
物語中の人間関係の絡み方や行動に現実感が湧かないんです。
(私がオバサンだからか?^^;)

水族館をイメージした水槽の描写はとても繊細で、
ゆらゆらとした水の動きまで目に浮かぶようでした。
カズがバイトする中華料理屋のオヤジさんも、いいキャラでした。
・・・でも、それだけ。

主人公を『きみ』と表記する二人称の突き放した文体も
私には合わなかったのかもしれません。

個人的見解です。ほんと、ゴメンなさい。
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by marin_star | 2005-04-15 23:48 | 式田ティエン  

四日間の奇蹟(浅倉卓弥・宝島社文庫)

読了は2004年12月頃だったと思いますが、
感想を書きそびれてました。
最近映画化の話題で再度盛り上がってきたので
思い起こした次第・・^^;。

もう、あちこちのレビューサイトで書かれているとおり、
本当に出会えてよかった、と思える、魂が救われるような物語です。

問題の魂の入れ替わりの場面に来たときには、
あれ?『秘密』のパクリ?とちょっとトーンダウンしてしまったのは
事実ですが、読み進めるうちに全く違う物語となっていき、
そんな設定の符号は全然気にならなくなりました。
それどころか、瑞々しい研ぎ澄まされた感性に満ち溢れた筆致が
素晴らしく、真理子の切ない心の叫びや静かに耐える健気さに、
泣けて泣けて仕方ありませんでした。

海を見下ろせる丘の上に経つ病院と礼拝堂。
赤い夕日を背景に黒いシルエットで浮かび上がる情景が
物語の最初のほうに描かれていますが、その描写がとても印象的で
心に強く残っています。
最後に礼拝堂で奏でられる『月光』の場面も。
繊細なそれでいて力強く荘厳な情景をありありと見せてくれる、
描写力・表現力の素晴らしさ!

登場人物もそれぞれにきちんと生きてきた人生を背負っていて、
それがしっかりと描かれています。
次回作が本当に楽しみな作家さんです。
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by marin_star | 2005-04-15 22:56 | 浅倉卓弥  

幽霊刑事<デカ>(有栖川有栖・講談社文庫)

余韻のたっぷり残る、
素敵なファンタジー・ミステリ(こんな分類はない?^^;)でした。
理由も分からずに突然上司から射殺された刑事が、
成仏できずに幽霊となって自分の事件の真相を探っていく――――。

幽霊となった姿は親にも婚約者の彼女にも見えず、
(映画の『ゴースト』とはそのへんが違いますね。。。)
唯一彼の姿を見たり声を聞いたりできるのは、祖母がイタコ(霊媒師)だった、
という同僚刑事ひとりだけ。(イタコって笑える・・^^;)
愛する家族や恋人にだけ見える、というのがよくある設定だと思いますが、
この『幽霊刑事』は愛する人には全く存在を感じてもらえず悶絶し、
同僚刑事は彼との会話の現場を見られて変人扱いされ、
カウンセリングまで受けるハメになってしまう・・・・・
ちょっと可笑しくて切ない設定の中、
警察内を舞台にしたミステリが展開されます。

誰にも気づかれることなく潜入できて、空も飛べてしまう幽霊の主人公は、
尾行も簡単、すぐに犯人を捕まえてやる!と意気込むが、
怪しいと思う人物の部屋に侵入できても、引き出しひとつ開けられない・・・。
『ゴースト』のように訓練をすれば現世に存在する物体を動かすことができる、
という、調子のよい設定にはなっていないのだ。
たとえ、重要な現場を目撃したとしても目撃者として名乗り上げることは
もちろん無理。

一見、万能にも感じられる幽霊が自分の能力の限界に悩む様が、
実に人間的でユーモラスでもあり、もどかしくもあり、切ない。

最後は少し強引な展開のようにも感じたけれど、
ラストシーンは珠玉のラブストーリーとなっていて、
涙が出そうになりました。
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by marin_star | 2005-04-15 12:45 | 有栖川有栖  

流星ワゴン(重松清・講談社文庫)

最近ミステリばかり読んでいたんですが、
これは話題作で評判がよかったみたいだし、
時空を超えて人生をやり直すことはできるのか?という、
ちょっとファンタジックな、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせる
題材に惹かれて購入。

『死んじゃってもいいかなぁ、もう・・・』
そんな思いを漠然と抱えた主人公の一雄(カズ)、38歳。
リストラ、息子の家庭内暴力、妻の浮気、
そして、幼い頃から大嫌いだった父は癌で余命いくばくもない。
何もかもが上手くいかない、いつからこうなってしまったのか――――。

そんな彼の前に、5年前に交通事故死した父子の乗ったワゴンが現れ、
過去のたいせつな場所へ運んでくれる、という。
そして向かった場所では、死に直面しているはずの一雄の父が、
一雄と同じ38歳の若さで現れる。

時空を超えてやっと本音を言い合えるようになる一雄(カズ)と父(チュウさん)。
不器用な頑固者ではあるけれど心根は子供想いのチュウさんの姿が、
自分の親と重なったりしてとても切なくいとおしいです。

親として子供に何を伝え、何を残してやれるのか、
また、子として親にどんな言葉をかけてやればよいのか・・・・
そんな親子の在り方や関わり方を考えさせられる本でした。
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by marin_star | 2005-04-14 22:38 | 重松 清  

大誘拐(天藤 真・創元社推理文庫)

1978年の作品。
たぶん1985年ごろ文庫で読み、それ以来私の中で
ベスト10に入り続けてきた大傑作の再読です。
学生の頃、あんまり面白いので友達に貸したんだけど、
それっきり返ってこなかった・・という悲しい想い出が・・^^;
最近またどうしても読みたくなって購入しました。

今読んでも、全く古さを感じさせません。

とにかく、奇想天外な展開と100億円の身代金というスケールの大きさ、
にもかかわらず、ほのぼのとした人間味あふれる登場人物たちと
ユーモアあふれる語り口が、最高です。

*あらすじ*

4万ヘクタール(大阪の約1/4)もの山林を所有し、
地元の住民から神か仏のように慕われている大地主の老婆を誘拐した、
もとスリ師の健次と2人の仲間。
身代金は5千万、と決めていたのに、誘拐された本人が
『この私を何と思うてはる。身代金は100億や。
ビタ一文負からんで!』と言い出したから、さあ大変!!

老婆を恩師と仰ぐ県警本部長が火だるまのごとく捜査の指揮を執り、
100億円の身代金というニュースが全世界を駆け巡り、
地元住民が結集して情報を集める中、
彼らはどうやって大金を手に入れるのか?
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by marin_star | 2005-04-12 12:39 | 天藤 真  

クラインの壺(講談社文庫)

仮想と現実の記憶の区別がつかなくなるほどの、
バーチャルな疑似体験アドベンチャーゲームが秘密裏に開発される。
本当にそんなことが可能なのか?と最初は非現実的な感覚を持って
読み進めたんですが・・・

特殊なスポンジ・ラバーでカラダ全てが覆われ、皮膚の一部のようになり、
実際には握ってもいないものを握っているように感じてしまう・・・
主人公が戸惑い、驚愕しながらもその体験を事実として受け入れていく様が
あまりにリアリティがあって、
夢物語のような設定がどんどん現実味を帯びてきます。

怖いです。
そんなのありえないっ、って思えないところが本当に怖い。
人間の記憶を疑似体験で作り上げてしまうことが可能になったら、
人は何を信じて行動すればよいのか?
帯の『現実も真実も崩れ去る 最後で最恐の大傑作!』という
文句は決してオーバーじゃないと思いました。

*あらすじ*

見るもの・触るもの全てが現実と全く同じ感覚、という
バーチャルなリアリティアドベンチャーゲームが秘密裏に開発される。
ゲームの原作者である主人公は、アルバイトとして雇われた少女と二人で
その画期的なゲームのモニターを依頼されるが、
ある日突然、少女は消えるようにいなくなってしまう。
そしてその画期的な開発の裏には、国家的規模の恐ろしい陰謀が
隠されていた…
  
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by marin_star | 2005-04-12 12:01 | 岡嶋二人