カテゴリ:雫井脩介( 2 )

 

虚貌<上・下>(雫井脩介・幻冬舎文庫)

なかなか読み応えのある作品でしたが、ラストが残念な感じ。
雫井さんはミステリに向いていないんじゃないか?と思ってしまいました。
(未読の方、これから読もうと思っている方は、以下お読みにならないでください!私の個人的感想が作品を堪能する邪魔になっては困りますから・・・)


『火の粉』もこの作品も、人間の業(ごう)というか、
内面の鬱積した負のエネルギーを描写するのは本当に見事だし、
登場人物の設定やリアリティというのも素晴らしいと思います。
ただ、ミステリとしてこの作品の犯人は
「えー!反則じゃない~?」と思ってしまった…
『意外な犯人』というのはよくあるパターンですが、それともちょっと違う。
意外を通り越して、なんでこっちの人が犯人なのさっ!(怒)って感じ・・・。
なんか、ここまで物凄いリーダビリティーで読ませておいて、
その結末はないんじゃないの?ってちょっとガックリきてしまいました。

本当に、結末意外はすごく楽しめたんです。
読んでる最中ものめり込みました。
登場人物それぞれの『貌(かお)』に対峙する生きざまがぶつかり合い、
緊迫感のある展開にハラハラしながら上下巻を一気に読み進めました。
だからこそ、この結末には納得いきません。。。

『栄光一途』もそうだったんですよね。
「え?そんな犯人で終わらせちゃうの?」と、
なんか一生懸命誰が犯人か考えてた自分が
バカらしくなってしまうような終わり方でしたね。。。
登場人物は魅力的だったんですけどね。
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by marin_star | 2005-11-01 23:11 | 雫井脩介  

火の粉(雫井脩介・幻冬舎文庫)

まず、怖いなぁ~、というのが読後の感想です。
ほんとにこんな隣人がいたら、と思うとゾゾ~~~ッとします。

ある日引っ越してきた隣人は、裁判官だった梶間が
2年前に無罪判決を下した男だった。

愛嬌のある笑顔で気の利いた贈り物をし、主婦の悩みに心底理解を示し、
庭仕事や介護まで手伝ってくれる、親切なお隣さん。
それは本当の姿なのか、または何か企みがあるのか・・・?

そして、隣に引っ越してきたのは偶然なのか・・・?


怖いですね~~~~。
舞台が『日常』なだけに、余計に空恐ろしいです。

隣人の男が「するり」と人の心の隙間に入り込んでいく過程や、
不審に思う家族が何者かに陥れられて孤立していく様は、
抗うことが不可能と思わせるのに十分な説得力があります。

後半の鬼気迫る展開、そしてラストシーンも
とてもよかった。

裁判官って、冷静沈着でクール・・・ってイメージを
勝手に持っていましたが、判決ひとつにも身を削られるほどの
ストレスを抱える『職業』なんだなぁ・・と改めて感じさせられました。


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雫井さん、「火の粉」が良かったので「栄光一途」も読みましたが、
こちらは今ひとつ・・・。

残念ながらオリンピック以外は柔道に興味のない私にとっては、
柔道の技もイメージできず、師弟関係の強固なつながりも実感がなく・・・。
それゆえに起こるミステリとしての顛末も、
納得はいくものの、「やられた!」と絶賛したくなる結末ではありませんでした。。。

なので、新たなレビューは無し、ということで。
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by marin_star | 2004-10-19 22:34 | 雫井脩介