カテゴリ:井上夢人( 5 )

 

あくむ(井上夢人・集英社文庫)

この本、ホラー短編集・・・ということでずっと敬遠してたんです。
近所の本屋には全然置いていないし・・・。
先日、ちょっと遠出したときに立ち寄った本屋で発見♪
コレを逃したらいつ買えるかわからない!と思い、購入。
ドキドキしながら(めっちゃ怖かったらどうしよう・・・と)、読みました。

怖いです。ものすごく不気味な話が5篇。
でも、私が苦手なタイプ(怪談っぽい感じとか)ではなかったので
怖かったけど、面白かった!

ディスカウントストアで何気なく買ってしまった盗聴機にのめり込み、
盗聴で出会った女性への異常な執着愛を持った男の顛末を描いた、
「ホワイトノイズ」。

交通事故で運び込まれた病院で、失明を宣告され取り乱す画家の
希望と絶望をミステリ仕立てにした巧みな「ブラックライト」。

自分は代々伝わる特殊な「種」=吸血鬼であると思い込んだことから起こる、
悲劇の「ブルーブラッド」。

両親の期待を裏切らずに優等生のレールを歩いてきた兄と落ちこぼれの弟。
ある日、兄の体に不気味な白い筋が増殖を始め・・・「ゴールデンゲージ」。

エキストラのバイト中になりゆきでキスしてしまったミライの見る夢が、
必ず僕の現実に起こる・・・。偶然か?予知夢なのか?
夢と現実がごっちゃになる恐怖に満ちた「インビジブル ドリーム」。

どの作品も、シュールでヒヤッと背筋が凍るような、
まさに「悪夢」な話です。
どこからどこまでが夢なのか、現実なのか、妄想なのか・・・
「悪夢」なら早く覚めろ!・・・・そんな悲痛な叫びや、あるいは
その悪夢の中に身を委ねて現実から逃れ、均衡を失った不気味な薄笑いが
聞こえてきます。

少し軽めの「ホワイトノイズ」から始まって、1篇ごとに不気味さが
凄みを増していく、5篇の構成も見事。

現実と非現実の境目が分からなくなる恐怖・・・
これ、井上さんの得意技ですよね。
さすが、です。
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by marin_star | 2006-11-23 21:53 | 井上夢人  

メドゥサ、鏡をごらん(井上夢人・講談社文庫)

この作品、ずっと前から読みたかったんですが、
なかなか書店で見つけられなくて・・・
先日やっと手に入れました!

怖かった・・・!

作家・藤井陽造が、コンクリートを満たした木枠の中に
自ら全身を塗り固めて自殺する場面から、物語は語られ始めます。
傍らに遺された「メドゥサを見た」のメモ。

発見者となった陽造の娘とその婚約者は、
この異様な死の謎、そして最後に書かれていたはずの遺作を探し始めるが。。。

最初は、遺品の中にあった陽造の日記代わりのノートを手掛かりに
なぜこんな異様な死に方をしたのか?「メドゥサを見た」とは?という謎と
遺作の行方を追いかける、ミステリの気分で読んでいたんですが、
次第にどんどん怖くなっていってホラーっぽい感じに・・・

陽造ノートに書かれた人物にあたるうちに
婚約者の周囲に起こる不可解な出来事。
明かされていく過去の事件、連鎖する怪死。
そして、衝撃の忌まわしい過去の事件・・・!

あー、怖い~。どうしよう。もうやめられないよー。
途中で止めたら、怖いままだし・・・
と、必死で(笑)読み進めました。

途中、展開が読めた気がしていたんですが、
見事にその予想をはるかに上回る衝撃の展開に。

う~~ん、さすがです。


何を書いても致命的なネタばれになりそうなので
あまり書けませんが、
井上夢人らしい現実と非現実の境目が分からなくなる恐怖というか、
背筋がゾクゾクするような作品でした。

作中、陽造の書いた作品のことを娘の婚約者が振り返る際、
「SFともホラーともミステリともつかない小説」
「読んでいる間中、ゾクゾクするような不安な気持ちにさせた。
とてつもなく怖い小説」
「怖いのに読むのをやめられず、途中で本を伏せることができなかった。」
と言ってますが、
それって、まさに井上夢人だよ!この作品だよ!・・って思いましたね^^


解説によると、この作品は評価が分かれているそうですね。
(解説の池波志乃さんは、井上作品のベスト1!」とおっしゃってますが。)
確かに、ミステリとして読んだ方には納得いかない部分が
ずいぶんとあるのかもしれません。
でも、
ミステリのつもりで読み始めた私ですが、
もうそんなことはどうでもよくなるほど、
夢中になって読んでしまった、面白い作品でした!
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by marin_star | 2006-08-04 08:32 | 井上夢人  

もつれっぱなし(井上夢人・講談社文庫)

「オルファクトグラム」・「クリスマスの4人」以降、
久々の井上作品文庫化!と、中身も確かめず購入。
会話だけで構成される短編集、ということで、
井上夢人なら面白いはず・・・と期待したんですが。。。

↓これから読もうという方は、以下読まないことをおススメします!<追記>↓
(今さらの追記で申し訳ありませんが・・・^^;)



最近の中でワースト1のつまらなさでした。。。
(スミマセン!)

6篇の短編が収録されていますが、
1作目の途中から、もうダメでした。

何がおもしろいのかさっぱり分からない。

6篇の中でも同じような状況が繰り返し出てきて
「あれ?またおんなじこと言ってる?」みたいなとこもあったし。

「会話だけで小説が書けるのか?」
作家側からするとおもしろいチャレンジだったのかもしれませんけど。

申し訳ないけど、リサイクル行き決定です。。。(涙)
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by marin_star | 2006-05-13 22:18 | 井上夢人  

オルファクトグラム(井上夢人・講談社文庫)

2005年2月に文庫化された作品で店頭にあるのはずっと知ってました。
井上作品ということで面白いに違いない、と思ってみるものの、
「イヌ並みの嗅覚を持つ主人公が事件を追う・・」という設定にどうも手が伸びず・・・
なんか嗅覚の表現って魅力感じなかったんですよ。
イヌみたいにクンクン地面を嗅ぎ回って事件解決?
地味だし、リアリティなさそーっ・・・って。

ゴメンなさい、本当にゴメンなさい。
早く読まなかった私は大馬鹿モノです!!

研ぎ澄まされた嗅覚、匂いをこんなふうに描写するなんて
井上夢人はスゴイ!スゴすぎる!!
見えないからこそ表現する言語も発達していない匂いの世界を
こんなにもありありと美しく私たちに見せてくれるなんて!
その創造力の素晴らしさ、確かな描写力に改めて感激してしまいました。
しかも、その「匂いを視覚化する」というアイディアに溺れることなく、
いつの間にか、素晴らしいラブストーリーのためのファクターの一つにまで
昇華させているところがスゴイです。

これは傑作だと思います!(読後で高揚しすぎ?^^;)

異能力を身に付けた主人公というとココ一番というときに
都合の良い活躍をしてしまいがちですが、そんないかがわしさは全然なく、
地に足のついた等身大の主人公がとても好ましく応援したくなります。

人生の価値観が思いっきり変わってしまった主人公の
「一人ぽっち」になってしまう孤独感が切なく胸に迫ります。
感動的かつ温かな気持ちになれるラストシーン・・・。

井上作品はみなラストが素晴らしいけど、この作品は秀逸です。
愛にあふれています。
このラストに向かって、このラストのために登場人物たちの苦悩が
あったんだな、と。

2001年度「このミス」第4位作品。
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by marin_star | 2005-07-11 23:55 | 井上夢人  

ダレカガナカニイル・・・

井上夢人さんって、「岡嶋二人」の片方だったんですね~。
(無知でスミマセン)
岡嶋さん作品も読んだことはないけれど、
この作品で他のものも俄然読みたくなりました!

*あらすじ*
警備員の西岡は、新興宗教団体を警護していたが、
着任当夜、突然の出火で教祖が焼死。
それ以来、彼の頭の中で他人の声がし始めた・・。
ミステリであり、かつ男女の激しい情念を描いた恋愛小説。
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by marin_star | 2004-09-01 17:43 | 井上夢人