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幽霊刑事<デカ>(有栖川有栖・講談社文庫)

余韻のたっぷり残る、
素敵なファンタジー・ミステリ(こんな分類はない?^^;)でした。
理由も分からずに突然上司から射殺された刑事が、
成仏できずに幽霊となって自分の事件の真相を探っていく――――。

幽霊となった姿は親にも婚約者の彼女にも見えず、
(映画の『ゴースト』とはそのへんが違いますね。。。)
唯一彼の姿を見たり声を聞いたりできるのは、祖母がイタコ(霊媒師)だった、
という同僚刑事ひとりだけ。(イタコって笑える・・^^;)
愛する家族や恋人にだけ見える、というのがよくある設定だと思いますが、
この『幽霊刑事』は愛する人には全く存在を感じてもらえず悶絶し、
同僚刑事は彼との会話の現場を見られて変人扱いされ、
カウンセリングまで受けるハメになってしまう・・・・・
ちょっと可笑しくて切ない設定の中、
警察内を舞台にしたミステリが展開されます。

誰にも気づかれることなく潜入できて、空も飛べてしまう幽霊の主人公は、
尾行も簡単、すぐに犯人を捕まえてやる!と意気込むが、
怪しいと思う人物の部屋に侵入できても、引き出しひとつ開けられない・・・。
『ゴースト』のように訓練をすれば現世に存在する物体を動かすことができる、
という、調子のよい設定にはなっていないのだ。
たとえ、重要な現場を目撃したとしても目撃者として名乗り上げることは
もちろん無理。

一見、万能にも感じられる幽霊が自分の能力の限界に悩む様が、
実に人間的でユーモラスでもあり、もどかしくもあり、切ない。

最後は少し強引な展開のようにも感じたけれど、
ラストシーンは珠玉のラブストーリーとなっていて、
涙が出そうになりました。
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by marin_star | 2005-04-15 12:45 | 有栖川有栖