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ミカ!(伊藤たかみ・文春文庫)

「あー、アタシ、なんで女に生まれてきたんやろ!なんでや!」
そんなふうに嘆く小学6年生のミカ。
プロレスやK-1大好き、サッカーもドッヂボールも男の子に手加減されるのが
大嫌い、スカートもいや、おっぱいなんていらない!・・・と
徹底したオトコオンナっぷりを発揮するミカがとっても魅力的。

そんなミカと双子のユウスケが、二人の日常と、
両親の別居・姉の家出などの家族の問題をやさしい目線で語り、
二人が成長していくお話です。

小5の娘用に買ってあげて、娘のあとに読みました。

同級生との会話や、双子のミカとの会話がものすごく自然で、
読んでいる自分もすとん!と小学生の目線になっている感じになります。
異性を意識し始めたり、カラダの変化にとまどったりする
微妙な小学6年生の思春期のココロを、とても素直に子どもの目線で
生き生きと描いています。

ミカとユウスケの両親は別居していて、ついに離婚することになり、
高校生のお姉ちゃんは、家出して別居中のお母さんのところへ行ってしまう。
「お父さんは孤独」なんて分かってしまうユウスケはとってもやさしい。

そして、悲しい「すっぱい涙」がカラダにポタリと落ちると、
クネクネとして大きくなる「オトトイ」と名づけた不思議ないきもの。
ミカもユウスケも悲しいことがあると、こっそりオトトイのところに来て
涙を流していくので、オトトイはどんどん大きくなってしまうのだ。

小学生でも、それなりにツライことがいっぱいあって、
泣き場所が欲しいんだよね。



「子どもには幸せになる権利がある」
「正確には、子どもだけじゃなくて みんなその権利を持っている」

だから、大丈夫。
今日はたくさん泣いてしまっても、明日はきっと元気がでるよ。
誰だって幸せになれるんだから。



児童文学ですが、大人でもちょっとほのぼのしながら
面白く読めてしまう本です。
小学校高学年の子どもがいるママさんには超おススメ。
続編の「ミカ×ミカ!」もあります。


第49回小学館児童出版文化賞受賞作

by marin_star | 2006-11-13 23:22 | 伊藤たかみ  

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