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メドゥサ、鏡をごらん(井上夢人・講談社文庫)

この作品、ずっと前から読みたかったんですが、
なかなか書店で見つけられなくて・・・
先日やっと手に入れました!

怖かった・・・!

作家・藤井陽造が、コンクリートを満たした木枠の中に
自ら全身を塗り固めて自殺する場面から、物語は語られ始めます。
傍らに遺された「メドゥサを見た」のメモ。

発見者となった陽造の娘とその婚約者は、
この異様な死の謎、そして最後に書かれていたはずの遺作を探し始めるが。。。

最初は、遺品の中にあった陽造の日記代わりのノートを手掛かりに
なぜこんな異様な死に方をしたのか?「メドゥサを見た」とは?という謎と
遺作の行方を追いかける、ミステリの気分で読んでいたんですが、
次第にどんどん怖くなっていってホラーっぽい感じに・・・

陽造ノートに書かれた人物にあたるうちに
婚約者の周囲に起こる不可解な出来事。
明かされていく過去の事件、連鎖する怪死。
そして、衝撃の忌まわしい過去の事件・・・!

あー、怖い~。どうしよう。もうやめられないよー。
途中で止めたら、怖いままだし・・・
と、必死で(笑)読み進めました。

途中、展開が読めた気がしていたんですが、
見事にその予想をはるかに上回る衝撃の展開に。

う~~ん、さすがです。


何を書いても致命的なネタばれになりそうなので
あまり書けませんが、
井上夢人らしい現実と非現実の境目が分からなくなる恐怖というか、
背筋がゾクゾクするような作品でした。

作中、陽造の書いた作品のことを娘の婚約者が振り返る際、
「SFともホラーともミステリともつかない小説」
「読んでいる間中、ゾクゾクするような不安な気持ちにさせた。
とてつもなく怖い小説」
「怖いのに読むのをやめられず、途中で本を伏せることができなかった。」
と言ってますが、
それって、まさに井上夢人だよ!この作品だよ!・・って思いましたね^^


解説によると、この作品は評価が分かれているそうですね。
(解説の池波志乃さんは、井上作品のベスト1!」とおっしゃってますが。)
確かに、ミステリとして読んだ方には納得いかない部分が
ずいぶんとあるのかもしれません。
でも、
ミステリのつもりで読み始めた私ですが、
もうそんなことはどうでもよくなるほど、
夢中になって読んでしまった、面白い作品でした!

by marin_star | 2006-08-04 08:32 | 井上夢人  

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