ラッシュライフ(伊坂幸太郎・新潮文庫)

恥ずかしながら全く初めて知った作家さんです。
店頭でかなり平積みされていて、全く別々に進行していく4人の物語が、
あるとき交錯する―――という内容に惹かれて購入。

別々の水源から流れ出した川が大海で一緒になるように、
複数の物語が最後に一緒になって、なだれ込むように
ラストへ向かっていくのかな、(ジェットコースター・ムービー的?)と
思ったら、ちょっと違いました。

自分の信じる美学に基づいて仕事をする泥棒の男、
父の自殺後、信仰していた『神様』を“解体”する青年、
不倫相手との再婚のために殺人を企てる女カウンセラー、
リストラされ再就職もできないのに野良犬を拾ってしまう中年の男。

彼ら4人とその周辺の人々の人生が、あちこちで、さまざまな形で
複雑にクロスしたりニアミスしたりして話が進んでいきます。
時間軸も巧妙にずらされていて、最後まで展開が全く読めず、
本当に最後の最後になって、ようやく全貌が姿を現す、という感じでした。
そう、物語の中にも出てくるエッシャーの騙し絵のような・・・。

不思議な読後感です。
どんな絵柄かもわからないまま、大きなパズルを部分的に組み立てていって、
最後のピースを埋め込んだ途端に絵柄が目に飛び込んできた・・・そんな感じ。

面白い作家さんだと思いました。
ミステリファンの間ではすでに有名な作家さんのようで、
ホントお恥ずかしいですが、他の作品も読んでみたいなぁ~。
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by marin_star | 2005-05-07 23:26 | 伊坂幸太郎  

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