火の粉(雫井脩介・幻冬舎文庫)

まず、怖いなぁ~、というのが読後の感想です。
ほんとにこんな隣人がいたら、と思うとゾゾ~~~ッとします。

ある日引っ越してきた隣人は、裁判官だった梶間が
2年前に無罪判決を下した男だった。

愛嬌のある笑顔で気の利いた贈り物をし、主婦の悩みに心底理解を示し、
庭仕事や介護まで手伝ってくれる、親切なお隣さん。
それは本当の姿なのか、または何か企みがあるのか・・・?

そして、隣に引っ越してきたのは偶然なのか・・・?


怖いですね~~~~。
舞台が『日常』なだけに、余計に空恐ろしいです。

隣人の男が「するり」と人の心の隙間に入り込んでいく過程や、
不審に思う家族が何者かに陥れられて孤立していく様は、
抗うことが不可能と思わせるのに十分な説得力があります。

後半の鬼気迫る展開、そしてラストシーンも
とてもよかった。

裁判官って、冷静沈着でクール・・・ってイメージを
勝手に持っていましたが、判決ひとつにも身を削られるほどの
ストレスを抱える『職業』なんだなぁ・・と改めて感じさせられました。


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雫井さん、「火の粉」が良かったので「栄光一途」も読みましたが、
こちらは今ひとつ・・・。

残念ながらオリンピック以外は柔道に興味のない私にとっては、
柔道の技もイメージできず、師弟関係の強固なつながりも実感がなく・・・。
それゆえに起こるミステリとしての顛末も、
納得はいくものの、「やられた!」と絶賛したくなる結末ではありませんでした。。。

なので、新たなレビューは無し、ということで。
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by marin_star | 2004-10-19 22:34 | 雫井脩介  

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