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クラインの壺(講談社文庫)

仮想と現実の記憶の区別がつかなくなるほどの、
バーチャルな疑似体験アドベンチャーゲームが秘密裏に開発される。
本当にそんなことが可能なのか?と最初は非現実的な感覚を持って
読み進めたんですが・・・

特殊なスポンジ・ラバーでカラダ全てが覆われ、皮膚の一部のようになり、
実際には握ってもいないものを握っているように感じてしまう・・・
主人公が戸惑い、驚愕しながらもその体験を事実として受け入れていく様が
あまりにリアリティがあって、
夢物語のような設定がどんどん現実味を帯びてきます。

怖いです。
そんなのありえないっ、って思えないところが本当に怖い。
人間の記憶を疑似体験で作り上げてしまうことが可能になったら、
人は何を信じて行動すればよいのか?
帯の『現実も真実も崩れ去る 最後で最恐の大傑作!』という
文句は決してオーバーじゃないと思いました。

*あらすじ*

見るもの・触るもの全てが現実と全く同じ感覚、という
バーチャルなリアリティアドベンチャーゲームが秘密裏に開発される。
ゲームの原作者である主人公は、アルバイトとして雇われた少女と二人で
その画期的なゲームのモニターを依頼されるが、
ある日突然、少女は消えるようにいなくなってしまう。
そしてその画期的な開発の裏には、国家的規模の恐ろしい陰謀が
隠されていた…
  

by marin_star | 2005-04-12 12:01 | 岡嶋二人  

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